運送業許可

運送業許可を取得するには、法律(貨物自動車運送事業法など)や、運輸支局の取り決めで定められている非常に細かな条件全てをクリアする必用があります。

運送業許可とは?

運送業許可とは、通常「一般貨物自動車運送事業」を指して言われることが多いです。

運送業許可を取得するには、貨物自動車運送事業法を始めとするおよそ16の法律の定めにしたがって、さまざまな要件を満たす必要がございます。

運送業許可を取得するためにクリアしなければいけない要件は、営業所(事務所)・駐車場(車庫)・資金・トラックなどの車両・運転手・運行管理者・整備管理者・運転時間(労働時間)です。それぞれに細かい基準が設けられています。当事務所では、運送業許可申請書類の作成はもちろんのこと、要件の調査および管轄の運輸局との交渉を含めて、できる限り事業者様にご負担のないように作業を進めて参ります。

  • 運送業を始めたいので、許可取得の手続きをサポートして欲しい。
  • 営業所や車庫を新設移設したいので、手続きを依頼したい。
  • 変更事項がたくさんあるのだけど、どのように対応したらよいか分からない。
  • 事業報告書の作成、提出の代行を頼みたい。
  • 巡回指導、監査の対策に困っている。

運送業の手続きでお困りの方はお気軽にご相談ください。

営業所について

実際に運送業に関わる配車業務等を行う場所のことです。
どんな建物でもよいというわけではなく、いくつかの要件があります。

①申請者に2年以上の使用権原があること

例えば申請する方が所有している物や、借りているもの、 所有者の方から使用承諾を得ている物であれば大丈夫です。 ただし、あくまで「申請者」に使用の権限が必要なので、 代表取締役等の方が借りている物件の場合には注意が必要です。

②都市計画法、建築基準法、消防法、農地法等関係法令に抵触しないこと

建物が上記の関係法令に違反していないことが必要です。 都市計画法では、建物が建っている場所によっては事務所としての利用が認められないことがあります。(詳細は下のファイルをご覧ください。) また、市街化調整区域に建っている建物に関しては営業所としての使用はまず認められません。 建築基準法では、建築許可を受けた建物であることが必要です。 ですので、基礎工事のないプレハブでは建築許可が取れないため、営業所としては使用できません。

用途地域での事務所の用途制限について(PDFファイル)

③適切な規模があること

目安としてはおおよそ10㎡程度となっています。デスク、PC、電話等を置いて実際の運送業務が行えるスペース が確保されていれば、10㎡未満でも認められることもあります。

休憩・睡眠施設について

運転手の方に休憩や睡眠をとってもらう場所のことです。営業所と同じように、いくつかの要件があります。

※睡眠施設について
運転者の方が運行の都合上、法令で義務付けられている[勤務と勤務の間の休息期間8時間]を、自宅に帰って取ることができない場合には、睡眠施設も設置する必要があります。その場合は運転者一人につき2.5㎡の広さが必要です。

①原則として、営業所又は自動車車庫に併設するものであること

通常徒歩で移動できる場所にある場合は、併設とみなされます。

例えば営業所と同じ建物の別の部屋であったり、営業所にある程度の広さがあるならパーテーションで営業所と区切った部分を休憩室として申請することも可能です。

②申請者に1年以上の使用権原があること

営業所と同様の使用権限が必要です。

③都市計画法、建築基準法、消防法、農地法等関係法令に抵触しないこと

営業所と同様の制限があります。

自動車車庫について

事業用自働車を止める駐車場のことです。
どこでも良いわけでなく、いくつかの要件があります。

①原則として、営業所に併設するものであること(併設できない場合は営業所から直線10km以内であること)

営業所からの距離の制限に注意が必要です。

直線で10km以内の立地でなければ、車庫としては使用できません。

②出入口の前面道路の幅員が車両制限令に適合し、かつ、交通安全上支障がないものであること

出入り口の前面道路を管理する市役所等から、道路の幅が事業用自動車が通ることができるものであることを証明してもらう必要があります。

一見車両が通るのに十分な幅員があるように見える場合にも、幅員証明が認められない場合があるので注意が必要です。

※前面道路が国道の場合には幅員証明の取得は不要です。

③都市計画法、建築基準法、消防法、農地法等関係法令に抵触しないこと

車庫の場合は、有蓋の車庫(建物があったり、屋根のある車庫)でなければ、市街化調整区域でも認められます。

ただし、土地の地目が農地のままの場合には農地転用等の手続きが必要です。

④車両と自動車車庫の境界及び車両相互間の間隔が50cm以上確保され、かつ、計画する自動車のすべてを容易に収容できるものであること

とにかく全ての車が入れば良いというわけでなく、ある程度の余裕のある広さでなければ、車庫としては認められません。

⑤申請者に1年以上の使用権原があること

営業所と同様の使用権原が必要です。

事業用自動車について

事業に使用する自動車についてです。
保有台数、使用車両等に制限があります。

①営業所毎に配置する事業用自動車の数は5両以上であること

営業所毎に、事業用自動車が最低5台必要です。
ですので、初めて許可を取得する時に営業所を2つ設置設置しようとした場合には、最低10台の自動車が必要となります。

 ※けん引自動車及び被けん引自動車を含む場合の車両数の算定方法は、「けん引自動車+被けん引自動車」で1両となりますのでご注意ください。

②使用する権原を有する裏付けがあること

使用権原については、
(ア)自社保有車両により確保する場合は、自動車検査証(写)
(イ)購入による場合は、車両売買仮契約書(写)等
(ウ)リース契約による場合は、契約期間が概ね1年以上である リース契約書(写)等の提出によって裏付けとすることができます。

営業所や休憩室と同様に「申請者に使用権原があること」が必要ですので、ご注意ください。

③計画する自動車の大きさ、構造等が輸送する貨物に対し適切なものであること

どんな車両でも認められるわけではなく、車検証での用途が貨物となっている車両であることが必要です。
ただし、軽自動車は使用できませんのでご注意ください。

運行管理者について

営業所毎に運行管理者の選任が必要です。運行管理者は運行の安全を管理し、運転者の方への指導の義務があります。
運行管理者として選任するためには次の①か②のどちらかの要件を満たさなければいけません。

①運行管理者の資格を有していること

過去に運行管理者試験に合格していることが必要です。
試験は年2回(3月、8月)行われます。

②運行管理に関する実務経験が5年以上あり、その間に運行管理に関する講習を5回以上受講していること

実務経験とは運行管理補助者としての経験のことです。
合わせて運行管理者基礎講習(最低1回)、運行管理者一般講習の合計5回以上の受講も必要です。

※前面道路が国道の場合には幅員証明の取得は不要です。

整備管理者について

会社毎に自動車の点検・整備及び自動車車庫の管理に関する事項を行う整備管理者の選任が必要です。
整備管理者として選任するためには、次の①か②のどちらかの要件を満たさなければいけません。

①整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車の点検若しくは整備又は整備の管理に関する2年以上の実務経験を有し、かつ、地方運輸局長が行う研修を修了した者であること

2年以上の実務経験とは、
① 整備工場、特定給油所等における整備要員として点検・整備業務を行った経 験
(工員として実際に手を下して作業を行った経験の他に技術上の指導監督的 な業務の経験を含む。)

② 自動車運送事業者の整備実施担当者として点検・整備業務を行った経験

③ 整備管理者の経験

④ 整備管理者の補助者(代務者)として車両管理業務を行った経験

⑤ 整備責任者として車両管理業務を行った経験
等の経験のことです。

地方運輸局長が行う研修とは、運輸支局毎に実施している「整備管理者選任前研修」を受講・修了した方をいいます。

②一級、二級または三級の自動車整備士技能検定に合格した者であること

(1)一級自動車整備士 《二級自動車整備士より高度な自動車の整備ができること。》

  • 一級大型自動車整備士
  • 一級小型自動車整備士
  • 一級二輪自動車整備士

(2)二級自動車整備士 《自動車の一般的な整備ができること。》

  • 二級ガソリン自動車整備士
  • 二級ジーゼル自動車整備士
  • 二級自動車シャシ整備士
  • 二級二輪自動車整備士

(3)三級自動車整備士 《自動車各装置の基本的な整備ができること。》

  • 三級自動車シャシ整備士
  • 三級自動車ガソリン・エンジン整備士
  • 三級自動車ジーゼル・エンジン整備士
  • 三級二輪自動車整備士

上記のいずれかの資格が必要です。

運転者について

貨物運送業では、選任した運転者以外の方に事業用自動車を運転させてはいけません。運転者の選任に関する要件は以下の通りです。

①最低5人以上の運転者を選任すること

最低5人以上の運転者が必要です。
人数が足りない場合は許可を受けることができません。

②常勤の者であること

運転者は常勤である必要があります。ですので、以下の方は運転者として選任はできません。
・日々雇い入れられる者
・2ヶ月以内の期間を定めて使用される者又は試みの使用期間中の者(14日を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)

③事業用自動車を運転する資格を持っていること

事業用自動車を運転することができる運転免許を有している必要があります。

資金について

事業計画に必要な資金が確保されていることが必要です。
人件費、保険料、燃料費や車両費等が事業を行うのに十分有しているかを銀行の残高証明で証明します。

事業計画により必要な金額は変動しますが、概ね1000万円程度が必要となることが多いです。
詳しい項目につきましては下のファイルをご参照ください。

事業計画資金.pdf

法令試験について

申請者(会社の場合には役員の方)は、申請後に法令試験を受験し合格することが必要です。
合計30問の問題に○か×で解答し、8割以上の点数を取れば合格です。
チャンスは2度ありますが、そのどちらかで合格できない場合は、不許可となってしまいます。
法令試験に出題される条文集は下のファイルです。
是非とも一度目を通していただければと思います。

法令試験条文集平成29年版(第2版).pdf

許可を取得した後は

無事に許可を取得した後は、運行管理者・整備管理者の選任届、運輸開始前の確認報告、車両の登録(白ナンバーから緑ナンバーへの変更)、運賃料金設定届、運輸開始届等の手続が必要です。

また、運輸開始届を提出し実際の運輸を開始してから3ヶ月ほど経つと初回の巡回指導があり、関係法令等を守って運輸が行われているかのチェックがなされます。

この際に関係法令の順守が全くされていなかったり、許可を受けた内容から勝手な変更を行ってしまっていると、その後に車両停止等の行政処分へと発展してしまう可能性があります。

当事務所は許可の準備段階からご相談に応じ、お客様がスムーズに許可を取得できるようサポートをさせていただいております。

また、許可後の各種手続きや初回巡回指導への準備のお手伝いもさせていただきます。

みなと行政書士法人

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